【コラム】エアコン設定28℃は危険?「28℃」の正体
猛暑が続いている日本列島。今年は熱中症警戒アートの発令が頻繁に聞かれ、室内で冷房を使用することも多くなっているかと思います。
そこでよく見るのが「エアコンの温度設定は28度」という謳い文句。実は根拠のない情報だとご存知ですか?
◉冷房の28度設定、実は根拠ナシ!
「28℃」にという数値設定、実は環境省が提唱するクールビズでの推奨温度で出てくる数字です。
そしてエアコンの設定温度ではなく室温の温度提唱をしており、室温の上限としての目安として出ている数字なのです。室温を必ず28℃にしなければならない、というものではなく、建物の状態や条件、空調の状態や体感温度の違いなどから、室内にいる方の体調などを考慮し、無理のない範囲で冷やしすぎないように部屋の温度を調節する様に推奨しています。
室温の上限の目安として出している数字なので、これより温度を下げるのはNGと言っている訳ではありません。
要するに「28℃」という数字が一人歩きしてしまっている状態なのです。
◉「室温28℃」を目安とした背景
「クールビズ」開始時に、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」及び労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」で定められた室温設定の範囲(17℃以上28℃以下)に基づいて、“冷房時の室温28℃”を呼び掛けたそうです。
また「クールビズ」では、快適に過ごせる軽装を呼びかけています。これは軽装による体感温度差に着目したもので、平成17年に(財)省エネルギーセンターが実施した「上着を脱いでネクタイをはずすと体感温度が2℃下がる」という実験結果に基づいて、室温28℃時の「軽装」と室温26℃時の「スーツ」の温熱感はほぼ同じであり、着衣量のコントロールによって体感温度を下げる工夫を促すものでした。
◉快適温度は人それぞれ
住環境の違いや基礎代謝の違い、衣服の違いでも人によって、同じ温度でも暑くも寒くも感じるというこです。
近年は体温を越える程の外気温になることもあり、数字だけにとらわれていると危険という場合も。熱中症になってしまったら、クールビズも省エネも元も子もありません。
「正解は?」とすぐに正解を求めがちですが、正しい「正解」を選択するためにも、正しい知識を学び続けることは重要なことなのです。
◉体感温度を下げるために日常生活で工夫すること
1)必要以上に皮下脂肪を増やさない
皮下脂肪には体の熱を逃さない断熱材の役割があると考えられています。皮下脂肪は、一度冷えるとあたたまりにくいと言えます。一般的に男性は筋肉量が多く皮下脂肪が少なく、女性は筋肉量が少なく皮下脂肪が多いため、男女での体感差が大きいと言われています。
また筋肉には水分を貯めておく機能もあるので、熱中症対策のためにも筋肉量を減らさない生活をする工夫も重要です。
2)服装を考える
湿度が高いと実際の気温よりも体感的には暑く感じるので、風通しのよい服装がおすすめです。
クールビズでも軽装とスーツで実験している通り、夏に適した服装を選択することが重要。
汗をかく季節なので速乾性の高い素材を使った服装選びも重要なポイント。
また靴下や靴も夏用のものにするだけで体感温度は変わってきます。
3)エアコンと一緒に扇風機やサーキュレーターを使う
サーキュレーターとは、空気を循環させるための機械のこと。
冷たい空気は部屋の下部に溜まりやすい性質を持っています。扇風機やサーキュレーターを使うことで冷たい空気を部屋全体に循環させることができます。扇風機やキュレーターを使えば必要以上に設定温度を下げることなく部屋全体を快適な温度に保つことが可能と考えられていまs。
すぐに「正解」を求めがちな私たちですが、まずは1人ひとりが、正しい知識を学び続け、自分で考えるクセをつけることが重要です。リスキリングが叫ばれている今、28℃問題だけでなく全てに言えることだと実感しています。
参考文献
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/coolbiz/article/action_detail_004.html
投稿者プロフィール
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睡眠Bodyコンサルタント、理学療法士、著者
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